独歩も愛した 城 山「城山が鳴るとき、佐伯鳴る」と、国木田独歩が記した城山。いまでも佐伯市民に愛され続ける城山の魅力・・・

櫓門(やぐらもん)
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城跡は石垣を残すのみ
佐伯市街のほぼ中央、標高144mにシイの木で覆われている「城山」があります。
佐伯城は慶長11年(1606年)、日田の隈城から移封された毛利高政によって築かれました。天守閣は、築城後ほどなく火災によって消失、わずかに残った隈櫓・土塀なども廃藩置県の際に取り壊されました。今日では三の丸に櫓門(やぐらもん)、山頂に石垣が残るだけとなっています。
明治の文豪国木田独歩は「大木暗く繁った山であまり高くはないが甚だ風景に富んでいました」と記し、「余が初めて佐伯に入るや先ずこの山に心動き、余巳に佐伯を去るも眼底其の景容を拭い去る能わず、この山なくば余には殆んど佐伯なきなり。」とさらに記しています。佐伯市民にとっても城山は、今なお心のより所であり、シンボルです。
城山頂上までの道のりには、独歩碑の道、登城の道、翠明の道、若宮の道と、4つの登山道があり、それぞれ四季折々の風景が楽しめます。山頂からは、遠く四国の山々まで眺望でき、登る人が後をたちません。
【 城山の自然 】
城山の林はシイ・カシ・タブなどから成る照葉樹林です。冬から春にかけてヤブツバキが赤い花をつけ、メジロやウグイスが花を訪れます。2月から3月にかけて、タイミンタチバナ・カクレミノ・イズセンリョウなどの低木が目立たない花をつけ、谷沿いにはサツマイナモリが白い花を咲かせます。5月にはシイの花が城山を黄金色に染めるように咲きます。
シジュウカラやキレンジャクなどの小鳥が木々の間でさえずり、ニイニイゼミやアブラゼミの鳴き声が聞こえると、夏はもう目の前です。夜には林の中にヒメボタルの乱舞を見ることもできます。
秋にはどんぐりやシイが実り、頂のコナラやケヤキが黄色に染まります。
オオイタサンショウウオ(大分県指定天然記念物)は、城山で発見されたのが最初で、ここが標準産地となっています。
【 櫓 門 】
櫓門は、豊後佐伯城(鶴屋城)の現存する唯一の遺構です。佐伯市の観光の最大のシンボルと言えます。昭和51年に大分県重要文化財指定を受けました。毛利家第三代当主高尚は、櫓門を創建し、山上の鶴屋城から三の丸に住まいを移して藩政の中心としました。1637年(寛永14年)のことと伝えられています。
主な施設:
○ 登山道(山頂まで徒歩約20分)
○ 独歩の碑(山頂)
○ 櫓門(県指定有形文化財)
○ 佐伯文化会館